お金を払わない節税対策!決算時にできる節税のコツ

個人事業主の節税対策といえば、必要経費の計上や所得控除の計上など様々な方法があります。
これらは、いってみれば期中に実際にお金を支払って行う節税対策です。
しかし、個人事業主の節税にはお金を払わずに行える対策もあります。
それが期末の決算整理時に行う棚卸資産の評価、減価償却、そして貸倒引当金の計上です。
しかも棚卸資産の評価と減価償却については、申請を行うことで、より節税効果の高い方法を選択することもできます。

今回は、決算整理時にできる 3 つの節税方法について解説します。

棚卸資産の評価方法は「低価法」がおすすめ

棚卸資産の評価とは、商品や原材料などの在庫の簿価を算定することです。
評価の方法は、事業開始時に何も届け出をしていない場合は、「最終仕入れ原価法」という原価法の一つを使って算定することとなります。

この評価方法は、あらかじめ申請をすることにより「低価法」に変更することが可能です。
低価法を利用すれば、原価法による評価方法よりも、売上原価を高く計上できる場合があります。
売上原価とは、売上高に対する原価のことです。
売上原価を高く計上できれば、その分事業所得が低くなり、結果的に税金が安くなります。

最終仕入れ原価法では、最後の仕入単価に基づいて、期末の在庫商品の簿価を算定します。
これに対して低価法とは、青色申告者のみが選択できる方法で、原価法による評価と期末時価のうち、低い方の金額を評価額とする方法です。
たとえばその在庫商品の市場が、何らかの理由で悪化するなどした場合、有効な方法になります。
期末時価は、具体的には在庫商品の期末時点の売価などから算定することが可能です。
期末の棚卸資産の評価額が低ければ低いほど、売上原価は高く計上され、税金が安くなります。

低価法を選択するには、税務署に「所得税の棚卸資産の評価方法の変更承認申請書」を提出して、商品や原材料などの各評価方法を最終仕入原価法から低価法に変更することが必要です。
提出期限は、適用年の 3 月 15 日までになります。

《所得税の棚卸資産の評価方法の変更承認申請書》

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h28/21_22.pdf

減価償却方法は定率法がおすすめ

減価償却資産の償却方法は、建物、建物附属設備、構築物、無形固定資産(ソフトウェアなど)を除き、法定の定額法のほか、「定率法」を選択することができます。
定額法・定率法とは、減価償却資産の取得価格を、資産の種別ごとに設定された耐用年数に従い償却し、必要経費に算入していく際の計算方法です。

定額法と定率法の違いは、減価償却費を必要経費に算入するペースにあります。
初年度により多くの必要経費を計上したい場合は、定率法がおすすめです。
定額法の場合は、取得価格を毎年均等に経費に算入します。
これに対し定率法では、未償却残高に対して一定の償却率を掛けて経費にするため、初年度ほど必要経費への算入額が多くなるのです。

具体的に見てみましょう
2018 年 1 月に 40 万円のパソコン(耐用年数 4 年)を購入した場合、定額法・定率法による減価償却費は下記のとおりです。

※実際には備忘価格 1 円を残します。
定率法の 4 年目が 3 年目と同額なのは、4 年目に改定償却率に切り替わるためです。
必要経費に参入できる総額は同じですが、初年度は定率法の方が圧倒的に高額になります。

資産を購入した場合、通常は購入した年に最も大きな費用がかかりますよね。
分割払いにしたとしても、購入した初年度の支出が最も高額となることが多いでしょう。
もちろん青色申告者である中小事業者の場合、30 万円未満の資産は全額償却することが可能ですが、それ以上の高価な資産には適用できません。

そこで定率法をあらかじめ選択しておけば、償却できる額は初年度が最も大きくなります。
つまり、最も節税したい年に最も多くの額を必要経費にできるのです。

定率法への変更は棚卸資産の評価方法の変更手続きと同じ様式を、適用年の3月15日までに提出する必要があります。

《所得税の減価償却資産の償却方法の変更承認申請書》

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h28/21_22.pdf

貸倒引当金を積極的に計上しよう

貸倒引当金とは、売掛金や貸付金など事業上の債権に対し、回収不能となるリスクを見込んで損失を計上する制度です。
計上した金額は、必要経費に算入することができます。

貸倒引当金には
・「個別評価による貸倒引当金」
・「一括評価による貸倒引当金」
の 2 種類があります。

個別評価による貸倒引当金とは、一括評価による貸倒引当金よりも、回収不能リスクが高い状態でしか計上できません。
計上できる場合とは、たとえば更生計画認可の決定があり債務の弁済猶予があった場合、債務超過状態の期間が長く取り立ての見込みがない場合、更生手続き開始の申立てがあった場合などが該当し、通常何もない状態では計上することはできません。

これに対し、一括評価による貸倒引当金とは、回収不能となる具体的事由がなくとも、一般的な見込み額として必要経費に算入することができます。
一括評価による貸倒引当金は、売掛金や貸付金などの合計額に、5.5% の割合を掛けて計算します。(金融業は 3.3%)
たとえば期末の売掛金が 300 万円、受取手形 150 万円、貸付金 50 万円の場合、(300 万円 + 150万円 + 50万円)× 5.5% = 27万5,000 円なので、27万 5,000 円を貸倒引当金繰入額として必要経費に算入することができるのです。

貸倒引当金を計上する際は、あらかじめの届出などは必要ありませんが、一括評価による貸倒引当金の計上は青色申告者しか認められません。

まとめ

ちょっとした工夫で、決算時に節税することができます!
新しいことをやるのは少し面倒で大変ですが、ぜひ、試してみてくださいね。

クービック編集部

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